| 第１話 びっくり！ランプの精が登場さ！の巻 その２ | |
| ランプの精だという少年は、シャララに話し続けたのです。 「この間、オイラが眠りについてから何十年、いや、何百年かな。 ずい分と長く眠っちまった。今度のオイラのご主人さまは、おじょうちゃんってわけだ。」 からかうような笑みを浮かべたまま話すランプの精に、少しムッとしながらシャララは答えました。 「私はシャララっていうちゃんとした名前があるのよ。あなたの名前はなんて言うの？」 シャララは少しだけ落ちつきを取りもどしていました。 「おっと、失礼。オイラは、セシン。このランプの精さ。」 少しも失礼だとは思っていない表情で、セシンと名のるランプの精は答えました。 「このランプをみがいて、中で眠るオイラを起こしてくれた人が、オイラのご主人さまになるってわけさ。シャララさま。 魔法のランプの精は、ご主人さまの願い事をかなえるのが仕事なのさ。 だからシャララさま、何か願い事があったら、いつでもどうぞ。 ただし願い事をかなえるのは、ランプの精のルールで三つしかできないので、よく考えてからどうぞ。 お金持ちになりたいとか、お姫さまになりたいとか、スッゴイ美人になりたいとか。オイラの魔法で、なんでもあっという間にお望みどおりさ！」 ランプの精は、得意げな表情でシャララに言ったのです。 突然飛び出してきたランプの精に、願い事をどうぞと言われても、すぐに思いつくものではありません。 セシンの言葉に、シャララはしばらくの間じっと考えこみました。 そして口を開いたのです。 「じゃあね！王子さまに会わせて欲しいの。できるかしら？え〜と、セシン？」 シャララの言葉に、ランプの精セシンは二マッと笑って答えたのです。  「おお！王子さまときたか！女の子のお願いは、昔からいっつもそうさ。数百年前と変わらないね。イマドキの女の子のお願いってヤツを期待してたんだけど、オリジナリティってものがないよなぁ〜。」 このランプの精は見た目はとてもきれいな少年の姿なのに、とても口が悪いのねと、シャララは心の中でため息をつきました。 「この国の王子さまに会いたいの。ムリかしら？」 シャララはもう一度、がまん強くセシンにたずねたのです。 「そんなのカンタンすぎるさっ。明日、会わせてあげるよ！」 セシンはまた得意げな笑みを口の端にうかべました。 「明日？明日ですって？」 「そうさ？それじゃ遅すぎるかい？」 「私みたいな身分の者が、そんなに簡単にこの国の王子様に会わせてもらえるわけないじゃない？」 「おおっと！シャララさまは、まだオイラの力を信用してないな。 まぁ、明日ぜったいこの国の王子様に会わせてやるから、心配するなって。 では、オイラはそれまでちょっと一休み！」 セシンはそう言うと、ランプの中から出てきた不思議なけむりとともに、またあっという間にランプの中へと消えていってしまったのです。 後には暗い部屋の中に、シャララが一人取り残されたのでした。 シャララは床にヘタリと座りこむと、ランプの精が今までいた空間をしばらくの間、ぼう然と見つめていたのでした・・・。 その夜遅く、シャララの父は家に帰ってきました。 シャララはたずねませんでしたが、今日も父に仕事の注文はなかったようでした。なぜなら帰ってきた父からは、酒の匂いがしていたからです。 不思議なランプの精の事を、シャララは父には話しませんでした。 それはシャララ自身にとっても、今日起こった出来事が、まるで夢の中の出来事のように感じられたからでした。 しかし次の日には、さらに不思議な出来事がシャララを待っていたのでした。 つづきへ |