| 第４話 王子の呪いの巻 その１ | |
 「いろいろとありがとう、シャララさん」カシム王子はにっこりと、優雅にシャララにほほえみかけました。 「ええっ〜と、サルちゃんがカシム様で、カシム様が王子様〜？」 シャララはおどろきのあまり、王宮の大広間中にひびく声で叫びました。 昨日からシャララにとって、おどろくことばかりが続いています。 「何でカシム様は、サルちゃんの姿になってたの？」 「ボクは呪いの魔法をかけられて、昼間はサルの姿にされてしまってるんです」 カシム王子は優しい顔立ちに悲し気な表情を浮かべ、シャララに答えました。 「カシムちゃんたら、かわいそうに・・。あの悪い魔法使いに、こんなひどい呪いをかけられて・・・」 カシム王子の悲しげな様子に、隣にいるおきさきは突然泣き出したのです。 「その先は、私がご説明しますわ。 私はアルカタブールの王室付きの占い師、ラムダと申しますの。シャララさん」 先程の紫の衣を着た女が立ち上がると、シャララに向かって話し出しました。 「レピウスという、強い魔力を持つ魔法使いが西の島にいるのです。彼はこのアルカタブールの王室に、何かうらみがあるようなのです。 ２週間前レピウスは突然この王宮に現れて、カシム王子を魔法でサルの姿に変えてしまったのですわ。 そしてカシム王子を元の姿にもどしたいなら、王子自身がレピウスの住む西の島に来るようにと言って、そのまま消えてしまったのです。 それ以来カシム王子は、昼間はレピウスの呪いの魔法で、サルの姿なのです。王子が人間の姿にもどれるのは、日が沈んだ後の夜の時間だけなのですわ」 「え〜、そんなひどい〜！」 ラムダが話した信じられない内容に、シャララはおどろきの声を上げました。 カシム王子にかけられた呪いの話に、大広間の人々は水を打ったように静まりかえってしまいました。 キラキラキラキラ。 その時、いきなり大広間の中にまぶしい金色の光が満ち始めたのです。 見覚えのある光に、シャララは声を上げました。 「あ〜！もしかして、セシン？！」 大広間の空中に小さくなってかくれていたはずのセシンが、突然現れたのです。 空中にただようように浮かぶセシンは、人間と同じ大きさに戻っていました。  「ほらほらほら、シャララ様。言った通り、王子サマに会えただろ？ オイラはちゃんと約束は守るからなっ！」 いきなり現れて空中に浮いているセシンの姿を、王宮の人々はただポカンと口をあけて見上げています。 「おおっ〜と、皆様。オイラは、魔法のランプの精で、セシンという者さ。 今はこのシャララ様に仕えてるんだ。よろしくなっ！」 セシンは空中に浮かびながら、いつもの口調で言ったのです。 つづきへ |