第１７話　怪鳥現る！の巻　その１

次の日の昼近く、シャララたち一行は、ようやくクリスタルの山のふもとまでたどり着いたのです。 　シャララたちの目前には、半透明な水晶のがけがそそり立っていました。 　その山の頂（いただき）に、レピウスの館が建っているのでした。山の周りには、山側にへばりつくように立ってやっと人１人が歩ける位の細い道がラセン状にめぐっていました。 「こんな道が、延々と頂上まで続いているのか？」 　クレオが山の頂上を見上げて、つぶやいたのです。白い山の先端が、青い空に突き刺さるように、はるか遠くに輝いて見えていたのでした。 「とにかく上まで行かなくっちゃ！」 　シャララはみんなを力付けるように、元気よく言ったのです。 　シャララはランプの入っている袋を背中に背負うと、真っ先に細い道へと一歩を踏み出したのでした。 「キィキキキィ〜！」 　サルの姿のカシム王子も、その後に続きました。 「シャララさん！その大きな荷物は、女の子には危険だ」 　クレオが道を登りだしたシャララを呼び止めました。 「そんな荷物を背負って、この細い道でバランスをくずしたりしたら、まっ逆さまにガケから落ちてしまう。ザリオー！」 　クレオはザリオーに声をかけたのです。 「おおっ、そんな荷物くらい、俺が持ちますよ。シャララさん」 「えっ？で、でも、自分の荷物くらい、自分で持てるわ」 「なぁーに、山を登る間だけの事ですから。訓練してる俺たちには、たいした事のない重さですよ」 「でも・・・」 　シャララはザリオーが背負ってる大きな荷物を見て、ためらいました。 「荷物は頼んだ方が、安全ですわ・・・。何かあったら、かえってみんなが危険ですし」 　ラムダがシャララに言ったのです。そう言うラムダの荷物は、クレオが自分の荷物といっしょに背負うところでした。その中には、ラムダの大切な占いの道具が入っているのでした。シャララもようやく納得して、ザリオーに自分の荷物を渡しました。 「この位軽いもんでさっ。まっ、セシンのヤツもこん中に入ってると思うと、ちょっとシャクだけどな」 　ザリオーはシャララにそう言うと、大声で笑ったのです。 　一行は慎重に山肌にへばりつくようにして、一歩一歩小道を登っていったのでした。 「きゃ・・・」 　シャララの足元から、シャララの足に当たった小石が落ちていきました。石はかん高く透明な音を立てて、山肌に何度も当たりながら下まで落ちていったのです。シャララが下を見ると、すでに目まいを起こしそうな高さでした。 　その時、風がざわつくような音が、ラムダの耳に聞こえたのです。はっとして、ラムダが叫びました。 「何かが・・・・、何かが近づいてきますわ！」 　ラムダの叫びにみんなは緊張して、冷たい水晶の山肌にいっそう身を寄せたのです。 　今度は鳥のはばたくような音が、みんなの耳にも聞こえたのでした。 　一同の進むがけの道にむかって、一羽の巨大な鳥が近づいてきたのです。鳥は最初、青い空を背景に黒い点のように見えていたのですが、次第に大きくなって、一行の直前までせまってきたのでした。 　　つづく

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